2020/11/05

Vanzandt TLV-Thinline #01440

 テレキャスターは、エレキギターの元祖とも言えるもので、そのバリエーションも多い
 ぼくにとっては、ある種、憧れの対象であり、近づけなかった楽器だ。好きなギタリストがテレを使っている。なので、その演奏性や使いやすさよりも、その音にこだわりたい。そんな楽器だ。ネックの輪郭のはっきりした低音。ミックスの明瞭だが角の取れた柔らかさ。ブリッジの和音の切れ味。一本でこれだけ違う音色を手に入れられるのは本当に便利だ。
 ヴァリエーションは大きく分けて、普通のテレキャスターと中刳りをしてあるシンライン、ハムバッキングピックアップを積むデラックス。この三つの性格が違うバリエーションがある。ストラトにもヴァリエーションはあるがテレキャスターほどヴァリエーションによる違いはなく、案外、音の幅は狭い。
 ボディは材で言うと、ソリッドは、アッシュがメインでアルダーもあり、シンラインではアッシュもアルダーもあるが、マホガニーも使われる
 ソリッドのテレとアッシュのシンラインは、材は同じでもシンラインは低音側のボディが大きく中空になっている。重さも近い。個体によっては、ソリッドの方が軽いこともあると思う。このふたつの音の違いは、低音の響きが違う。ソリッドの方が、低音の輪郭がハッキリしているが、シンラインの方は、輪郭が弱く広がる感じ。良い悪いではない。どちらを好むかという問題だ。ぼくは、テレキャスターは、低音の輪郭にこそ値打ちがあると思っているので、ソリッドの方が好きだ。シンラインのマホガニーボディは、アッシュのシンラインとは全く違う音だ。ソリッドと比べると、メチャ軽い固体がある。2kg後半というのも探せば見つかる。ソリッドやアッシュのシンラインは、3kg代の半ばが普通だ。これが音に大きく影響する。マホガニーのシンラインは、生音が大きい。ギブソンのセミアコより大きいかもしれない。アンプの出音も、角の落ちたまろやかな音だ。まぁ、ジャズ系の音ではないが、いなたいチープ感が非常に魅力的だが、でも、それは、テレキャスターの魅力とは全く違う魅力だ
 ハムバッカーを積むデラックスやカスタムには、全く興味がないので試奏していない。そんなもの使うくらいなら、素直にギブソンのSGでも使うよ。
 テレキャスターを複数持つなら
 1本目は、正統派のソリッドのアッシュ、メイプル1Pネック。テレキャスターはこれでなくてはいけない。そういう楽器なのだ
 2本目は、マホガニーのシンライン。ちょっと音が弱いので、N,BともP90に積み替えても面白いかもしれない

 目線を変えて、ストラトキャスターはどうかというと・・・
 ストラトキャスターは、幅の広い楽器なのでボディが何であろうと、ピックアップがなにであろうと、何でもありだと思っている。そういう融通無碍なところが、ストラトキャスターの魅力だと思う

 ぼくの思い描くテレキャスターの音に近いのが、このHistoryのテレキャスター。フジゲン製なので、フェンダーを知り尽くした上での製品だ。現在のダイナ楽器のフェンダージャパンとは違う。ウレタンの上にクリアラッカー層を重ねてやや荒れた塗装を残している。それが自然な手触りを産む。ダイナのものよりは、触れて親しみやすいカラダに優しい感じがある。
 かたや、シンラインは、Vanzandt のマホガニーボディ。なんだか異常に軽くておかしいくらい。導管もシーラーで埋め切らず残している。その上から軽くクリアを吹いただけの仕事だ。生音はデカいが、通電するとおとなしい音だ。ブリッジのピックアップは、当然テレ用なのでそのクセはある。でも、ブリッジ側は、ほとんど使わないだろうと思う。
Vanzandt TLV-Thinline
◇ Specs. ◇
Body : Semi-Hollow Mahogany
Neck : Maple 1P / U Shape
Radius : 210R
Nut : Oil Finished Bone / 42 mm
Frets : 21 Nickel Silver
Scale Length : 25.5 inch / 648 mm
Neck Pickup : Vintage Telecaster B
Bridge Pickup : Vintage Telecaster B-55
Controls : Master Volume / Master Tone / 3-Way PU Selector SW




 なんだか異常に軽いので、こんど弦交換をするときに中をのぞいてみる

 Historyのものは、軽いVシェイプ。まぁ違和感はない。

 Vanzandt のものは、モダンCくらいかな?普通のVanzandtよりは細い感じだ。

 そうそう、テレキャスターのピックアップのセッティングについて話しておこう。
 テレキャスターのピックアップは、ブリッジ側の方が大きいので音がデカい。スイッチすると音の大きさが全然違う。1Volなのでこれでは普通困るだろう。逃げ方は、ネック側とブリッジ側のピックアップの高さを変えるのが一番手っ取り早い。ブリッジ側のピックアップは、弦から遠ざける。ぼくのピックアップのセッティングは、もともと低めなのだけど、テレのブリッジ側は、なお一層低くしている。
 ニュアンスが出しにくいと思うかもしれないが、アンプの出力を少し上げれば、その方がメリハリが効く。一度、試してみて。若干、音の伸びも良くなる気がするが、明らかに違うと言うほどではない
ピントが合ってないか・・・
これでどうだ?

 シンラインのブリッジは変わったものがつけてある。前の持ち主のこだわりがうかがえる

 マホの2P。トップバックともに

 スカンクラインがロッドに押されて少し浮いている。弦交換の時に一度ロッドを触ってどんな修理にするか考えるよ。ロッドを緩めて沈むようなら接着で逃げ、沈まないようなら接着剤を再度流して浮いた分は削る・・・そんなとこかな。演奏に直接影響する部分はちゃんと修理しとかないとね

 それにしてもヘンテコなブリッジだ・・・どのみちギターという楽器はチューニングは厳密には合わないんだけどね

 
 このテレはめちゃ軽い。普通のシンラインとは全く別の内部構造だと思う。上も下も中繰りしていると思うがそれ以上に軽いと思う
 ぼくの憧れるテレキャスター使いは、デフォルトから大きく手を入れている人が多い。そのことについてはまた別の機会に・・・

 もうひとつ・・・

 テレキャスターに張る弦は、最低でも10 始まりのレギュラーゲージを使うべし。
 猛者は11!
 ストラトキャスターなら、スーパーライトでもなんでも良いと思う